6.光源


『光源は重要』

3Dの表現の中でもっとも重要な要素となる光源について学んでみましょう。
自然界で物体が立体に見えるのは光源の影響が大きく影響しています。物体に光をあてると物体自身に影がつきますが、面への光のあたり方(つまり方向)により影の濃淡が異なります。この濃淡の差により立体的に見ることができるのです。
例えば影のついていない箱があるとします。箱の全ての面は同じ色であると下のように一見すると箱には見えず、一枚の平面的な絵に見えます。
しかし、これに光があたり影がつくことにより、立体的に見えるようになるのです。どうですか?立体的に見えるでしょ。

物体を立体的に感じる別の要素として、左右の眼で物体を見たときの微妙なずれ(差異)によると言うことは有名ですが、これはモニター等の平面の映像では関係ありません。他にも立体に感じる要素はありますが、光源を自由に扱う事がコンピュータグラフィックスの世界では重要になってきます。

本講座でこれまでにでてきた光源としてアンビエント光源があります。しかし、この光源は少し特殊でした。それは光の方向を持たない事にあります。方向が無ければこれまで出てきたサンプルの様に立体感の無い画像になってしまいます。もちろん、アンビエント光源にも重要な要素なので、そこらへんを詳しく見てゆきましょう。

LGPの取り扱う光源には大きく分けて2つの光源があります。一つはこれまでに出てきたアンビエント光源であり、もう一つはダイレクト光源というものです。

『アンビエント光源(ダイレクト光源)』

アンビエント光源は、光の方向を持たないという特色があります。例えば間接照明などがこれにあたります。物体に対して直接光があたっているわけではなく、壁や床で何度も反射して空間を複雑に散乱した光でありです。また、アンビエント光源は光の距離を持ちません。ライトの光は遠くに進むほど減衰しますが、アンビエント光源は減衰しません。
もう一つの光源であるダイレクト光源はアンビエント光源とは異なり光に方向をもちます。物体を立体的に見せるにはこの光源が必要になります。
ダイレクト光源にはいくつかの種類があります。

『ポイント光源(ダイレクト光源)』

点で照らす光であり、点から全方向に均等に光を放ちます。例として電球があげられます。指定の位置から全方向に均等に照らします。この光は距離により減衰します。


『スポット光源』

指定の位置から指定の方向に向けて照らす光源です。例として懐中電灯やスポットライトなどがあげられます。光は円錐形に広がりを持ち距離により減衰します。
この光源には特殊な要素を持っています。それは円形に照らされる光のうち、明るい内部コーンとこれより大きな外部コーンという光の強度を持つ点です。以下に示すように、光の強度は内部コーンと外部コーン間で減衰するようという指定を行う事ができるのです。。
この光源はとても表現力が高いので使いこなせればかなり強力な効果を映像に与える事が出来ます。ただし、この光源はとても負荷が高いので多様する事は避けるべきです。
また、スポットライトと聞くと、光の照らされた場所が円形に明るくなるように期待されるでしょうが、それはありません。これは光源が頂点の色に影響を与えるという仕様のためです。一枚の大きなフェースに対してフェース内に収まるようスポット光源をあてた場合、頂点に対してのみ影響を与えるため、フェースは頂点間のスムーズな色の変化でしか表現されないのです。一つの面を多くのフェースで分けて表現すればスポットライト風に見えるかもしれませんが負荷が気になります。スポットライト風に見えるようにする為には別のテクニックが必要になりますが、ここでは省略します。機会をみてご紹介しましょう。


『ディレクション光源(ダイレクト光源)』

光源の方向は持つが位置を持たない光源です。この光源はすべてのフェースに対して指定の方向に平行な光を放つ、太陽のようにとても遠い所からの光です。
距離に対する減衰もありません。
この光源はダイレクト光源の中でもっとも負荷の小さな光源であり、もっとも利用される場面の多い光源です。